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Channel: 天国の母さんへ。手紙です
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ありがとう。

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母さんがホスピスに入院してからの事を綴ります。

母さんはなぜかベットに横になって寝ようとしなかった。
ベットに座って立とうとしていた。
私「母さん。ずっと座っていると疲れるでしょ?」
母「うん。疲れた。」
私「じゃぁ横になろうか?」
母「うん。」
と、言ってベットに横に寝かせると・・・すぐに起き上がって
座りたがります。そして立ちたがって立たせてあげると
歩こうと足踏みして疲れるとベットに座る。といった行動が何日も続きました。
せん妄も酷く色々なもの、人が見えていたみたいで
私が隣で座っていても私の事を忘れてしまう。
何十年も前に死んだ犬の名前を呼んだり、
去年の暮れに無くなった母さんの弟の名前を呼んで
「何処にいるのかな?来ないのかな?」と心配していました。

でも母さんは「あの人の事が一番心配なのよ。」と。『父の事』

入院してからそういう状態が何日か続いていました。

8月3日。
いつもの様に電車とタクシーで母さんの病院に行こうとタクシーに乗っていたら
病院から連絡が来ました。「急変した」と。
すぐに病院について病室に入って行ったら
すごく苦しそうにしている母さんがいました。
すぐに輸血をして少し落ち着いたんだけど
それでもベットに座ろうとしていました。
その日から私は病院で寝泊まりしました。
夜になっても全然落ち着かなく安定剤や睡眠薬を何度も入れても
夜中2時間くらいしか寝なかった。

8月4日。
兄も仕事の休みを1週間もらったと病院に泊るようになりました。
孫たちも泊って賑やかな夜になりました。
母さん、賑やかな事が好きだったな・・・

8月5日。
下血が続いています。輸血をした分はもう出ていると思うと言われました。
それでもベットに座ろうとするから
私も一緒にベットに座って二人の前にはベット用のテーブルを置いて。
私「疲れたでしょ?横になろうか?」
母「うん。」
だっこして横にすると、母さん私の事ギューッと抱きしめて離さないんです。
兄「母さん、力入れていたらシロが離れられないよ。」と言ったら
母「シロが離してくれないんだもん。」と。

8月6日。
父も一緒に病室に泊りました。
家族4人で過ごしたのは何十年振りだろう。
母さんの耳元で色々な事を話しました。
たまに頷いてくれていました。
この日から座る事は出来なくなってしまったので
床ずれしないように向きを変えたり、足元にクッションを挟んだりしました。



8月7日。
明け方。
看護師さんが血圧が80位で酸素が80位です。
朝。血圧が60位。酸素70位。
昼。血圧が50位。酸素60位。

どんどん下がっていきました。

昼2時ごろの血圧は電子で測る血圧計では測れなくなっていました。

夕方母さん話をしたんです。
でも入れ歯もとってしまたし、微かな声だったから3回くらい聞き直したんだけど
わからなかった・・・
ごめんね。

涙を出していました。
私は母さんに「私が次に母さんに会うときは迎えに来てね。私方向音痴だから
       絶対迎えに来てね」と言ったら

(うん。)とうなずいてくれました。

少しずつ呼吸が弱くなって・・・呼吸が止まってしまいました。

首を見るとまだ脈が動いていたんだけど、その脈も・・・止まってしまいました。

母さんに着物を着せて化粧をして家に帰ってきました。

綺麗だった。

笑っているようなホッとしているようなきれいな顔をしていました。


癌になって約2年間。
本当に辛い、痛い思いばかりしていたけど
最後はとてもきれいな顔をして
微笑んでいる母さんの顔がこれからもずっと忘れない。




今までコメントを入れていただいた方やこのブログを読んでくださっていた方。
本当に有難うございました。
このブログは私にとってもとても大切な日記なので
このままにしておきたいと思います。


それと同じ病気で辛い思いをしている方へ。
『頑張らないけど、諦めない』
母さんがよく口にしていた言葉です。


有難うございました。

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